2015年12月20日日曜日

1 「リスクなくして、成長なし」 「才能とは、情熱や努力を継続できる力」

「リスクなくして、成長なし」 「才能とは、情熱や努力を継続できる力」

先日、NHKテレビで羽生善治三冠の特集を観た。羽生さんは、小学1年生で将棋を覚え、中学3年生で四段に昇段、25歳で7タイトル全制覇を達成した、文字通り将棋界最強の棋士である。いつもスポットライトを浴び続けていた羽生さんであるが、30歳を過ぎた現在壁にぶちあったっている。2年前には、タイトルが1冠にまで落ち込んだ。その際には、同期でいつもライバルであった森内俊之名人(棋王)に続けて敗れるという屈辱も味わっている。そんな30歳を過ぎた羽生さんの二つの言葉が非常に私の心を打った。

「リスクなくして、成長なし」 「才能とは、情熱や努力を継続できる力」

通常、我々なら「チャレンジ精神」、「冒険心」、「積極性」という言葉で置き換えられそうな内容であるが、長い間、勝負の世界に身を置く羽生さんだからこそ、あえて「リスク」と言う。勝つ怖さ、負ける怖さを知っているからこその言葉であろう。そして、成長するためには、情熱や努力が継続できなければならないということであろう。

小生も30歳を過ぎた今、振り返ってみると、10代、20代の時のようなチャレンジ精神や冒険心、積極性は影をひそめていないだろうか。情熱や努力は継続しているであろうか。それは、教員という立場になり学生を指導するようになって、また、親から独立し収入を得られるようになって、顕著に表れていないだろうか。おごりはないか。現状に満足し守りに入っていないか。30代には30代にしかできない「リスク」があると思う。それを選択するのか、現状維持で守りに入るのか、それとも逃げ出してしまうのか・・・。さらなる自己成長をするために、今、本当に何が一番必要なのか、じっくり考えたい。

羽生さんを応援したいし、それに相対する同期の森内さんも応援したい。この二人を励みにし、そして私のモットーである「アークのように明るく、雷のように激しく情熱的に!」、さらに活発に研究・教育活動を進めていきたいと思う。

*プラズマ・核融合学会誌 編集後記 2006年8月号 岩尾徹 著 より転載。